■ Project case

Fab Star

Case02

Fab Star

VTuberの推し活を楽しみながら、
孤独・孤立しない社会を実現する

AI化されたVTuberといっしょに買い物を楽しむ


「Fab Star(ファブスター)」は、AI化された”VTuber(バーチャルYouTuber)”といっしょに、チャットでしゃべりながら店舗や商業施設で過ごす時間を楽しむサービスです。たとえば、「おいしいハンバーガー店は?」と聞けば、オススメの店を”かわいい声”で教えてくれます。

その日の思い出を写真を撮ってシェアする機能や、限定ボイスがもらえる機能などがあるので、ユーザーの”推し”のVTuberといっしょならば楽しいこと間違いなしです。

VTuber市場は拡大を続けており、2022年にANYCOLOR株式会社、2023年3月にカバー株式会社が相次いで上場。 2023年度の市場規模は前年度比153.8%の約800億円(矢野経済研究所)といわれています。

「Fab Star」は急成長するVTuber市場に着目したサービスです。VTuberをAI化することで、ファンがいつでも気軽におしゃべりしたり出かけた先での思い出を残せるなど、”推し活”の新たな体験を提供します。

孤独・孤立は「たばこを1日15本吸うのと同じぐらい危険」


みずほフィナンシャルグループ(FG)が出資する”Blue Lab(ブルーラボ)”が、なぜVTuber市場の「推し活」サービスにチャレンジするのでしょうか?

「とにかく新しい事業にしたい気持ちがありました。自分が”推し活”するなかで、こういうサービスがあったら面白いな、と思ったのが直接のきっかけです。推し活は、アイドルやキャラクターなど大好きな”推し”とのつながりを得ることができるので、何ものにも代えがたい幸福感があります。その幸福感のある体験をもっとたくさんの人に広げたい」

「Fab Star」の新規事業を立ち上げた福島遼さんは、そう話します。

推し活の「つながり」の対極にあるのが「孤独・孤立」。特に”コロナ禍”以降、「孤独・孤立」は社会にとっての大きな課題になっています。

米国の公衆衛生政策を統括する米保健福祉省(HHS)がまとめた「孤独と孤立のまん延(Our Epidemic of Loneliness and Isolation)」と題した勧告によれば、「孤独・孤立」は「たばこを1日15本吸うのと同じぐらい危険」と指摘されています。

米国では、孤独に伴うストレスを原因とする欠勤が「雇用主に年間1540億ドル(約23兆円)の損失をもたらしている」そうです。

(「米国人の1割「親しい友人いない」 広がる孤独のワケは」日本経済新聞)

2024年4月1日に日本でも「孤独・孤立対策推進法」が試行され、対策が進んでいるところです。

福島:「”推し”が近くにいることで”つながり”を感じることができるので、幸福感をもたらすことができます」

「Fab Star」が目指す新たなサービスのカタチには、Blue Labだからこそできる社会課題解決があります。

スタートアップ3社で副業、
その経験が新規事業に役立った


福島さんのキャリアは、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社で、みずほ銀行の勘定系システムの開発・保守業務を担当することからスタートしました。AIやデジタル証券(セキュリティートークン)を活用した新規事業開発を経て、Blue Labに加わります。

福島:「みずほでも多くの開発経験を積みましたが、新規事業を立ち上げるためにいちばん役に立ったのは、スタートアップでの経験です」

みずほFGが副業を解禁したのは2019年。福島さんは、これまで3社のスタートアップに携わり、エンジニアとしてサービス開発を手伝ってきました。

福島:「スタートアップのスピード感は別種のものですし、サーバーサイドからフロントまで何でもやらなければならないという経験は、今でも役立っています」

「Fab Star」には、みずほFGでの経験だけではなく、スタートアップで得た経験が活かされています。

「みずほがVTuberで推し活サービス」のギャップがプラスに働く


「みずほがなぜVTuber市場で推し活サービスをやるの?」

福島さんは幾度となく聞かれたそうです。そのポイントは、BtoBのビジネスであること。「Fab Star」は、飲食店やカラオケなどの店舗やショッピングモールなどの商業施設にBtoBサービスとして使ってもらうことで、VTuberのファンを集客し、その対価としてサービス料が払われるビジネスモデルです。

福島:「ショッピングモールなどの商業施設は、不動産開発会社などの大手ディベロッパーが関わっていることが多いものです。そこで”みずほFGが出資するBlue Lab”と説明すると、安心して協業してもらえる”信用”という強みがあります」

PoC(実証実験)においても、Sony Musicのバーチャルタレント育成&マネジメントプロジェクト「VEE」と協業するなど、「Fab Star」は企業との連携を活用しています。

福島:「普通のスタートアップであれば足踏みするところで、協業先の大手企業にファーストタッチできるのはBlue Labの良さです」

【北白川かかぽ】新しい推し活を提供するサービス「Fab Star」にてAI化!実証実験がスタート!|VEE公式サイト

さらには、“金融業界のみずほ”という堅いイメージがあるところに対して、あえてエンターテインメント領域の推し活・VTuber市場でサービスに挑戦することは、協業先などの企業にとってプラスのイメージに見えるそうです。

福島:「”みずほがVTuberで推し活サービス”というギャップは、事業を推進するなかで活かされていると思います。異なるジャンルだからこそ、相手に”真剣なビジネスである”ことが結果的にポジティブに伝わってると感じます」

スケールメリットを活かし、ファンマーケティングへ展開


近年、生成AIを使ったYouTuber「AITuber(エーアイチューバー)」も次々と登場し、VTuber市場は活況となると同時に、競争も激しくなっています。「Fab Star」は急成長する市場に、どのように挑むのでしょうか。

福島:「VTuberの事務所ではないことは、”強み”にもつながります。競合ではないのでVTuber事務所としても提携しやすいのではないでしょうか。より多くの事務所と手を組み、全国の店舗や商業施設に展開することでスケールメリットを出していきたいと考えています」

では、「Fab Star」には、どのような優位性があるのでしょうか。

福島:「まずは飲食店やカラオケなどの店舗やショッピングモールなどの商業施設に特化することで、BtoBビジネスとして安定した収益を生みます。ビジネスを広げるときには、みずほが培ってきた全国のネットワークが活きてくるのではないかと思います」

さらに、その先のビジネス展開も見据えています。

福島:「ファンが話しかけたデータを個人を特定できないカタチで分析することで、ユーザー属性や場所に紐づいたファンマーケティングが可能になります。その場所、その時間でしか見られないリッチコンテンツを提供することで、マーケティング効果を高めていきます」

現在、「Fab Star」は試験運用を終え、次の段階に向けてサービスを開発中です。Blue Labの新規事業として、これからのビジネスの発展が期待されています。

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