■ Project case

みんなのキュアストーリー

みんなのキュアストーリー

治療体験談を共有して、
「患者中心の医療」を実現する

「治療体験談」を共有して、病気と向き合う勇気をもらう


「みんなのキュアストーリー(みんキュア)」は、病気で悩む人のために、「治療体験談」をインターネット上で共有するサービスです。同じ境遇の人たち同士で「治療体験談」を共有することで、これから治療に臨む患者が、病気と向き合う勇気を持てるようになることを目指します。

特に、「希少疾患・難病」に悩む患者は国内に600〜700万人いると言われていますが、日本では数えるぐらいの人しかいない病気もあるため、周囲に相談できる人がおらず共感してもらえる相手もいないため、不安や孤独感にさいなまれる人が多くいます。「みんなのキュアストーリー」は、「希少疾患・難病」など体験する人数が少ない方々の「治療体験談」をインターネットに掲載し、これから治療に臨む人が見られるサービスです(ウェブサイトはこちら)。

「患者・市民参画(PPI)」をきっかけにネットワークを広げる


近年、患者・市民の視点を医療や研究の中に入れる取り組み「患者・市民参画(PPI: Patient and Public Involvement)」という言葉が注目されています。医者や研究者だけではなく、患者・市民が参画し、お互いに意見を交換しながらいっしょに協働しようという取り組みです。

「みんなのキュアストーリー」は、PPIの新たな潮流をつくるきっかけの1つとなるべく、 疾病経験者・患者のオンライン上のネットワークになることを目指しています。特に「希少疾患・難病」などの貴重な疾病経験者を1つの情報サイトに集めることで、企業・大学などの研究に活かし、医療を発展させていくことも目標にしています。

たとえば、「希少疾患・難病」などの疾病経験者を、それぞれの企業・大学・リサーチ会社などが独自に集めようとしても、見つからないケースがほとんどです。「みんなのキュアストーリー」という”場”があることで、疾病経験者へのインタビューやオンラインアンケートなどを行いやすくし、医療や研究の進展に貢献します。

「自分と同じように、悩み苦しんでいる人がたくさんいるのではないか」


なぜ「治療体験談」をインターネット上で共有するサービスに挑戦するのでしょうか。「みんなのキュアストーリー」プロジェクトの起案者である安西洋太さんは、そのきっかけについて話してくれました。

安西:「僕自身が体験したことが本企画の原点です。脳動静脈奇形という希少な脳疾患であることが判明し、この病気は約10万人に1人と言われるぐらい珍しいものでした」

主治医とは話せるものの、同じ立場にいる当事者に相談することはできません。

安西:「この病気を『どうやって治療するか』はわかっても、”治療の経過”や”治療後の生活”はわからないんです」

病気が判明してからというものの、安西さんはどこを探しても「自分の疾患に関する当事者目線の情報がない」という不安、孤独に悩む日々を過ごしました。

安西:「自分と同じように、病気を患ったときに当事者の声や情報を得られなくて悩み苦しんでいる人がたくさんいるのではないか。そんな人たちを救いたい、と思いました」

インターネット上には病気そのものの情報はある程度ありますが、病気で悩む人、当事者の声はキーワードで検索してもなかなか出てきません。

安西:「同じ患者体験を持つ人たちが集まって自主的に運営される”患者会”はありますが、じつは高齢化が進んでおり、アナログな部分が多いのが現状です。『若い人がなかなか入って来ない』という課題があることも聞きました」

そこで求められていたのは、デジタル化によって誰もが垣根なく情報を入手できるようになり、疾病経験者・患者のコミュニティに入りやすくしていくことでした。

安西:「『みんなのキュアストーリー』は疾病経験者の”治療体験談”に特化して、時系列で整理するなどインターネット上で情報を見やすく掲載します。医師にチェックしてもらうことで、安心してご覧いただけるようにします」

“みずほ”のバックボーンがあるから、社会課題に取り組める


安西さんは、みずほフィナンシャルグループ(FG)が出資する”Blue Lab(ブルーラボ)”だから実現できることがあると言います。

安西:「患者側の発信は、実は医療業界にいる企業や団体では既存の仕組みやレギュレーションがあるので手を出しにくい。みずほのバックボーンがあるからこそ、これまで誰も取り組むことができなかった社会課題に対して、正面から取り組むことができます」

新たな事業である「みんなのキュアストーリー」を企画立案するにあたり、Blue Labであることがプラスに働くシチュエーションが多くあったそうです。

安西:「これまで300名超の疾病経験者や患者会をはじめ、行政機関や大手製薬企業の方々などにインタビューしました。患者会や行政機関を通じて面会する上で、まったく知らないスタートアップ企業ではなく、”みずほ”がサポートしていることで信用いただけました。安心感をもってみなさんに面談いただけたことは、事業を進める上で非常に大きかったと感じています」

安西さんは、みずほ銀行の銀行員として法人営業を10年以上にわたって務めてきました。これまでの経験も、新規事業に活きています。

安西:「みずほFGは、特に行政機関との強いネットワークがあります。そのネットワークを通じて、重要な社会課題に取り組んでいることをアピールしながら、患者会や医療系のリサーチ会社などたくさんの新たな出会いやきっかけをいただきました」

「ペイシェント・セントリシティ」の時代にこそ必要なサービス


最後に、「みんなのキュアストーリー」が目指すのは、どのような社会なのでしょうか?

安西:「医療・製薬業界では『ペイシェント・セントリシティ(患者中心)』という言葉が多く聞かれるようになりました。 現時点では、まだまだ日本では浸透していませんが、2025年4月から政府の『健康・医療戦略推進』計画にも患者の声を取り入れた医療開発を進めることが明記されました。これからは、日本の医療現場においても、患者の声がより多く求められるようになっていきます」

ペイシェント・セントリシティが当たり前になる時代に、未来のサービスがあります。

安西:「将来的には、きっと疾病経験者や当事者である患者の声や意見を取り入れながら、医療の研究開発が進んでいくと思います。そのときに『みんなのキュアストーリー』のネットワークが活きてくるはずです」

生成AIのような最新テクノロジーを活用した、サービス体験の向上も視野に入っています。

安西:「現在はみなさんに体験談を書いていただく形なので、書く側に負担がかかっています。ある程度のデータが蓄積したところで、書く負担を減らすために生成AIで自動作成などサポートする仕組みは取り入れたいと考えています。将来的には、PHR(Personal Health Record: 個人の健康や医療に関する情報)等とデータ連携することで、情報としての付加価値を付けていくことを展望しております」

※治療体験談をインターネット上で共有するサービス「みんなのキュアストーリー」は、一部の機能を除き検証を見合わせております。

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