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ファイナンスの力で世界は変わる

このたび〈みずほ〉の一員となりました、古川真希と申します。

先日、京都にて開催された ICC サミット KYOTO 2026にて〈みずほ〉が賞をいただく機会に恵まれました。あの場で私もメッセージさせていただきましたが、お伝えしたかったのは、私たちが目指しているのは、〈みずほ〉の新しい事業をつくることではなく、日本の次の産業をつくっていくことである ということです。

これから〈みずほ〉の一員として、新しい日本の産業を創り出すために、考えていること、取り組んでいることを発信していきたいと思っています。1日の京都水族館で主催させていただいたミートアップでは、本当にたくさんの方々とお話しさせていただきました。

あらためて、どうぞよろしくお願いいたします。

最初に、私が何をしたくてここにいるのかを書かせてください。

ファイナンスの力

ファイナンスの力で世の中が変わる。

日本から「できるんだ」という風景をみなさんと一緒に見てみたい。

私がやりたいことはそれです。

いま、日本で立ち上がろうとしている産業を見ていると、その多くが、これまでとはまったく違う「重さ」を抱えています。政府が掲げる重点投資17分野に並ぶような事業がそうです。事業として本当に立ち上げるには桁が二つも三つも違う資金が要る。

しかも、必要なのは金額の大きさだけではありません。足の長い事業になるほど、その資金をどう調達し、どのように計画に落とし込むのか。こうした戦略を本当に高いレベルで、最初から考えておかなければならない。そこを詰めないまま走り出すと、当然、綻びが出てしまいます。

そもそも、10年かけてつくる産業を、変動の激しい資本市場のセンチメントだけで支えることには無理があるのではないでしょうか?

スタートアップでその領域の技術、事業の知見が豊富だったとしても、「経営者」としてはルーキーというケースは少なくありません。

創業者・経営者に、技術・事業・組織づくりに加えて、エクイティ、デット、プロジェクトファイナンス、補助金まで組み合わせた高度なファイナンス戦略を Day1 から求めるのはやはり難しい。

これらが同時に揃っている状態は、そう簡単には作れない。だからこそ、ここに課題を感じる方は、これからますます増えていくはずだと思っています。

そして、そこは私が力になれる部分でもあります。

ペラペラだ、と思った日

私はもともと会計士です。大手監査法人で監査から入り、デューデリジェンス、事業再生を担当し、その後はシンガポールに渡って M&A に携わりました。動かし方を間違えれば本当にたくさんの人が迷惑を被る一方で、いまにも潰れそうな会社がほんの一時期を乗り越えるだけで再生していく。

お金の両側を見た時期です。ここにお金を入れたらどうなるんだろう、逆に引き上げたらどうなるんだろう。私は、そこで起こるマジックに魅せられているのだと思います。その後は政府系ファンドで、日本の良いものを海外に届けるための投資に携わり、投資先に取締役として入る立場にもなりました。

そこで気づいたことがあります。

取締役会で、出てきた戦略に「いいね」と評論家のように申し上げる。けれど本当にバリューアドをしようと思ったとき、事業を知らないと勘どころがつかめないのです。マーケティングコストが売上の20%もかかっているのはなぜなのか、なぜ絞らないのか。その裏側で起こっていること、その苦しみが感じ取れない。

自分はずいぶんペラペラだな、と思いました。

だから、投資して終わりではなく、投資した先を自分たちで育てる側に回りたくて、大手飲料メーカーの新規事業の部門に移りました。実際に事業そのものにも入り、担当した商品を世に出すところまでやりました。これは本当に楽しかった。

同時に、難しさも知りました。「大企業の論理」と「スタートアップの論理」がぶつかるオープンイノベーションではいつしか壁となり、調整と議論を重ねた結果、こぢんまりとしたプランが出来上がってしまう。これでは爆発力がないのではないか、と。

これは、特定の会社の問題ではありません。どこでも起きうる、構造の話だと思っています。

ここにきた理由

私が〈みずほ〉にやってきた理由、その決め手になったのは、中馬和彦の言葉でした。

我々は〈みずほ〉のための事業開発はやらない。黒子として、スタートアップと事業会社、行政、大学などをつなぎながら新しい産業を創ること、これを〈みずほ〉の事業開発と定義している。〈みずほ〉を主語にしていない。

そう聞いたとき、頭の中で星がパーッと弾けるような感じがして、「これだ」と思いました。

投資や産業づくりにおいては、私たちはギバーであっていいと思っています。

究極の目的は産業が出来上がることであって、足元ではない。金融機関という役割の中で産業づくりに取り組む。その割り切りを先に決めてくれている。これは、すごくやりやすいことです。

会計士として数字に強くなり、一度金融の側に入り、事業のストラテジックな面に魅せられて事業会社へ行き、それでもやはり、お金を動かすプロに囲まれたいと思ってメガバンクに来ました。自分の中では、来るところに来たな、という感覚があります。

日本はとても自然が豊かで、地球上においても非常にユニークな場所です。水も豊富ですし、森林もたくさんある。一方で直面している課題も多い。信頼できる成功事例をテクノロジードリブンで作れば、大きくできる。日本らしさがあり、社会課題の解決にもなり、かつスケールできる構造もある。

私が投資と事業開発にこだわり続けているのは、ファイナンスの力で世の中が変わるということを、日本というレベルで実現できるはずだと信じているからです。

技術があるから事業が育つ、ということももちろんあります。

けれどその両輪の中で、「ファイナンスの力が効いたね」と言える事例は、絶対に作れる。これまで広く見てきたからこそ、その事例を、今度は自分の手で作りたい、そう考えています。

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