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抹茶とともに、京都で。IVS 2026で見えた「産業創出の機運」二つの要因

2026年7月1日から3日まで、京都で「IVS 2026」が開催された。「Japan is Back」をテーマに掲げ、みやこめっせ・ロームシアター京都を舞台とする1万人規模のスタートアップ・カンファレンスだ。

この時期の平安神宮は海外から訪問する旅行客に混じり、カンファレンスのパスを首から下げた人々が目に入る。

公式のサイドイベントとして実施したお茶会「Mizuho Meet & Matcha」には雨にも関わらず多くの人々が来場し、カンファレンス初日の「おもてなし」を楽しんでいただけたようだ。

本稿ではミートアップの様子と共に、当社代表でもある中馬和彦が登壇したセッションの一コマも併せてレポートしたい。

お茶でゆるやかにつながる

初日のランチタイム、平安神宮の目の前に建つ由緒ある「平安神宮会館 迎賓殿」で、みずほ銀行とBlue Labが主催するカジュアルランチ交流会「Mizuho Meet & Matcha 26 Summer」が開かれた。みやこめっせ・ロームシアター京都から徒歩5分という好立地に、スタートアップ、VC、CVC の関係者らが次々と足を運んだ。

カンファレンスの熱気とは少し違う、肩の力の抜けた「お茶会」ならではの時間。名刺交換の合間にふと生まれる雑談から、次の一歩につながる出会いが数多く生まれていた様子だった。

もともとは一部の投資家と起業家だけが集まる、招待制のクローズドな勉強会だった IVS。それが門戸を開放し、ここ数年で起業に興味がある人なら誰でも参加できるオープンな場へと進化していったのだ。

さらに今年の IVS 2026は、政治・行政関係者の参加が一段と目立った。

招待制エリア「IVS CORE」には、第100代・第101代内閣総理大臣の岸田文雄氏がセッション「スタートアップに資金が巡る国の設計図とは」に登壇。同セッションには木原誠二氏(衆議院議員/自民党 日本成長戦略本部幹事長)らも名を連ねた。

防衛大臣の小泉進次郎氏も「防衛イノベーションの最前線」に登壇するなど、官と民が交わる場としての性格が濃くなっている。

中馬が初日に登壇したメインステージのセッション「Government as a Catalyst」も、経済産業省の石川浩・イノベーション創出新事業推進課長を交えた、まさにその潮流の上にある一幕だった。

産業創出の機運、二つの要因

メインステージのパネル「Government as a Catalyst 官需が生み出す次世代産業のエコシステム」には、経済産業省 イノベーション創出新事業推進課長の石川浩氏、Telexistence 代表取締役 CEO の富岡仁氏、そしてみずほフィナンシャルグループ/みずほ銀行 執行役員 CBDO 兼  Blue Lab 代表取締役社長の中馬和彦が登壇した。モデレーターは Funds Startups 代表取締役 CEO で IVS 2026企画責任者の前川寛洋氏が務めた。

いま、日本で「産業創出」という機運が急速に高まっている。

中馬はこの背景を、2つの構造変化として整理する。ひとつは地政学だ。グローバリゼーション一色の時代から一転し、経済安全保障の観点でサプライチェーンを国内・親密国の「ブロック内」で再定義する必要が生じている。

政府が掲げる重点投資17分野も、この文脈の上にある。

もうひとつが AI である。インターネット時代のイノベーションが Google や Amazon に代表される「デジタル空間の中」で起きていたのに対し、AI は製造業・素材産業からサービス業、さらには農業などの一次・二次産業まで、リアルな産業に浸透していく。

「全セクターが産業の再定義を迫られる」構造が生まれ、米国では Palantir のような官主導のプレイヤーが台頭した。日本にその型はないのか。それが議論の出発点だった。

スイングバイIPOは「エグジット」ではなく「グローススキーム」

1時間にも及ぶ議論は多岐にわたったが、中心のテーマはやはり、国内からいかにして巨大な産業を生み出すか、という点に尽きる。

ここでひとつ、中馬があえて「再定義」したいと語った話題がある。それが「スイングバイ IPO」だ。一般には「IPO のための新しい手段」と受け止められがちだが、中馬はこれを成長手段としてしっかりと捉え直すべきだと説く。

日本のスタートアップは「IPO か、M&A されるか」の二択で語られがちだ。

しかし本来は、二つの道がある。ひとつは、中小企業が持つ製造・品質などの足りない機能を、スタートアップ自らが M&A で取り込む道。もうひとつは、大企業にグループインし、そのアセットで機能を補完する道だ。いずれも PMF のフェーズまで一気に駆け上がることを可能にする。その上でグロースし、必要であれば再度、上場を目指してもいい。

この IPO と M&A のグラデーションはスタートアップの成長戦略にとって極めて重要であり、事業売却の選択肢ではなく、成長のための戦略として捉え直すべきだと力を込めた。

デット新時代

もう一点、その成長を支えるファイナンスについても、中馬は変化を指摘する。

これまでスタートアップの資金調達は株式(エクイティ)一本で、成長のポテンシャル(仮説)に投資するものだった。しかし経験値が蓄積され、いまは企業や政府によるバックオーダーや VC の出資といった成長の蓋然性を見て、その超過利益に対してデットを付けられる環境が整いつつある。

100%エクイティに頼ると、バリュエーションを上げ続けざるを得ず、いざ大企業へグループインしてダイナミックな資本政策を取ろうとした際に、株式の希薄化やバリュエーションの高騰が足かせになる。

デットを組み合わせれば、必要な資金を確保しながら、バリュエーションを事業規模に見合った水準に抑えられる。IPO と M&A のデュアルトラックを残したまま成長できる。

おわりに

抹茶を片手にしたゆるやかな交流から、産業創出の未来を見据えた真剣な議論まで。IVS 2026の京都で、Blue Lab 編集部は「つなぐ」役割をあらためて実感する時間となった。大企業とスタートアップの間に、そして大企業と大企業の間に立ち、新しい産業をともに育てていく。

その歩みは、京都の夏から確かに動き出している。

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